仕事のなやみ

【図解】説明上手になる方法|4つのステップと4つの力で解説

あなた

  • 言うべきことが思い浮かばない
  • 伝えたいことがうまく表現しきれない
  • 伝えたはずなのに、なぜか伝わってない
  • 難しいと言われてしまう

                        

そんな方のために、説明上手になるための4つのステップと4つの力を解説します。

                  

上手に説明するために必要な能力は4つです。

【構成を捉える力】大まかな構成を捉える

【事象分解力】事象を細かく分解する

【リサーチ力】伝える相手の状況を把握する

【表現力】相手に合わせてわかりやすく表現する

この記事では、「うまく言葉が出る」「言いたいことが表現できる」「相手に合わせて伝えられる」といった説明ができるようになるための方法をお伝えします。

説明することで得られるものとは

「説明」を辞書で調べると、「ある事柄が、よくわかるように述べること。」とあります。

説明をして、情報や意見、考えなどを他者と共有することは、社会生活を行う上で最も根幹となるものです。

説明をすることで、社会生活の充実度や人生の満足度を向上するために必要な、様々な機会を獲得することができます。

  • 感情や考えを多くの人に表すことができる
  • 同じ目標や考えを共有して、多くの人とつながることができる
  • 他者を助けることができる
  • 願望やビジョンを伝えて、実現することができる
  • 人脈や活動範囲を広げるチャンスを獲得できる

               

説明力とは

           

では、説明ができるようになること、すなわち「説明力」とはなんぞや?
ということで、「説明がわかりやすい」と言われている人が、どのようなステップで説明を行っているかを観察し、分析してみました。

STEP1. 大まかな構成を捉える
STEP2. 事象を細かく分解する
STEP3. 伝える相手の状況を把握する
STEP4. 相手に合わせてわかりやすく表現する

この4つのステップを、ぞれぞれ「能力」に置き換えてみると、次のようになります。

【構成を捉える力】大まかな構成を捉える

【事象分解力】事象を細かく分解する

【リサーチ力】伝える相手の状況を把握する

【表現力】相手に合わせてわかりやすく表現する

この記事では、この4つの力をまとめて「説明力」と定義して、解説を進めていきたいと思います。

4つの説明力を解説

              

ここでは、「あなたがアメリカ人の友人に頼まれ、おむすびの作り方を教える」というシーンを例にして解説していきます。

                   

1.【構成を捉える力】大まかな構成を捉える

                     

今回の例の場合、「友人がおむすびの作り方を理解して、自分で作れるようになる」ことをゴールだとすると、このゴール達成のために、伝えるべき情報の大まかな構成を捉えます。最初に全体を捉えた上で、いくつかの分類に、正しく分けていきます。

               

大体このような感じになると思います。

  • おむすびとは?の説明
  • ご飯を炊く
  • 握る前の準備をする
  • 塩むすびを握る~基本~
  • 色々な味付けで握る~応用~

                    

ここで大切なポイントは、次の3点です。

  • モレなく・ダブりなく全体を網羅する
  • 粒度を揃える
  • 順番を整える

                     

モレなく・ダブりなく全体を網羅する

               

この後のステップでそれぞれを具体化していく際に混乱しないよう、この段階で全体が網羅されつつ、モレやダブりのないように整えることが大切です。

コツは、次の2つです。

切り口を統一すること
はじめと終わりを意識すること

             

切り口を統一すること

今回の例では、「おむすびを作る流れ」を切り口にして、考えられる要素をまとめています。注意点は、「おむすびを作る流れ」や「手順」など複数の切り口を混在させないこと。複数の切り口を混在させると、モレやダブりが発生してしまうので気を付けてください。

                  

前後の情報を意識すること

説明する主題それだけを教えるのではなく、前提情報や、事後に必要な情報も含めることも大切です。

例えば、今回の例の主題は、「おむすびの作り方」ですが、それだけを教えても理解が深まらず、活用も難しいですよね。

「おむすびの作り方」を教える前には、おむすびの説明があった方が、より理解が深まりますし、「おむすびの作り方」を教えた後には様々な味付けも教えたほうが、今後のおにぎりライフを充実させます。

このように、主題の前後に必要な情報も意識することで、理解度・活用度の高い内容にしていくことができます。

                         

粒度を揃える

                      

ここでいう粒度というのは、情報の具体~抽象の度合いのことです。

                

悪い例で説明します。以下の赤い箇所をご覧ください。

NG例

  • おむすびとは?の説明
  • ご飯を炊く
  • 氷水を用意
  • 塩を用意
  • ふきんを用意
  • 塩むすびを握る~基本~
  • 色々な味付けで握る~応用~

                     

いかがでしょうか。他の項目と比べて、③~⑤だけ情報が具体的で、粒度の細かい情報になっているのがわかると思います。

このように粒度が揃っていないまま進めてしまうことは、わかりづらい説明のもとになります。

                    

正しくは、以下のように、他の項目と同じくらいの粒度でまとめていきます。

OK例

  • おむすびとは?の説明
  • ご飯を炊く
  • 握る前の準備をする
  • 塩むすびを握る~基本~
  • 色々な味付けで握る~応用~

                 

順番を整える

              

例えば、おむすびがどんなものかを知らないで、いきなりご飯を炊き始めたり、味付けの話をされても理解できません。相手が理解しやすい順番に整えることが大切です。

王道としては、PREP法やSDS法が有名です。

             

PREP法

P=POINT(結論)
R=REASON(理由)
E=EXAMPLE(事例、具体例)
P=POINT(結論の繰り返し)

               

SDS法

S=Summary(要約)
D=Details(詳細)
S=Summary(まとめ)

                           

主張がある際は、「PREP法」、結論を簡潔に伝える場合は、「SDS法」がむいています。

PREP法:主張がある際に用いる
SDS法:結論を簡潔に伝える際に用いる

                 

今回のように、何かを主張するというよりは、説明をする場合には、SDS法がむいています。特に、「要約⇒詳細」や、「全体像⇒具体」といったように、概略と詳細の関係を意識することが大切です。

                    

2.【事象分解力】事象を細かく分解する

                      

先ほど書きだした骨格を、さらに具体化していきます。

                   

コツは、“5W1H“の切り口で具体化することです。

                  

たとえばこんな感じです。

  • おむすびとは?の説明
    ・おむすびの概要説明(味や形、材料、栄養、起源、おにぎりにまつわる食文化など)
    ・作る手順の全体像を説明
  • ご飯を炊く
    ・お米を研ぐ
    ・炊飯器にセットする
  • 握る前の準備をする
    ・氷水をつくる
    ・塩やふきんの用意
  • 塩むすびを握る~基本~
    ・氷水でしっかり手を冷やす
    ・ふきんで水気を拭きとる
    ・塩を手に広げる
    ・優しく固め、成形する
  • 色々な味付けで握る~応用~
    ・鮭をいれる
    ・佃煮をいれる

               

この段階のNG例はこうです。

  • おむすびとは?の説明
    ・おむすびのおいしいところ
    ・おむすびのすごいところ

            

少しわかりづらいので、文章の例もあげてみます。

               

NG例

「素敵なカフェだったから一緒に行こう!コーヒーもスイーツもとてもおいしいよ!健康にいいコーヒー豆を使ってるんだよ。」

                

このような主観的で漠然としたものだと、「なるほど、納得。」とはなりませんよね。友人が説明している対象物を知り、その魅力に納得できるよう、詳細な事実情報が必要です。

次にOK例です。

                    

OK例

「店主が全国の農園を渡り歩いて、栽培環境を実際に見て確かめて厳選した、完全無農薬、自然栽培のコーヒー豆を使ってるんだよ。」
「人気のババロアを求めて、休日は全国からお客さんがきて、2時間待ちの行列になるんだよ。」

                        

いかがでしょうか。圧倒的に後者の方が納得し、心を動かされるのではないでしょうか。

「おいしい」「すごい」などの漠然としたイメージから一歩踏み込んで、「何が?なぜ?どのように?」など、5W1Hの観点で具体化することが大切です。

STEP1の段階で、しっかり骨格が整えられていれば、この段階ではスムーズに具体化できると思います。

もし、この段階でモレやダブり、順番などの問題に気づいたら、STEP1に戻ってやり直してみてください。STEP1、2を何度か行ったり来たりしている間に、次第に伝えるべき内容が整理されていきます。

               

3.【リサーチ力】伝える相手の状況を把握する

                       

アメリカ人の友人が、あなたにおむすびの作り方を聞いたのには、何か理由や目的があるはずです。

その理由や目的をリサーチすることで、より相手の求めるものにフィットした、喜ばれる情報を伝えることができるようになります。

「リサーチ力」としましたが、本人に聞くだけでなく、相手の状況に想像を膨らませることも大切です。

                       

例えば、「我が子の誕生日に、自作のおむすびをふるまってあげたい」という目的があるならば、子供用の味付けや、子供が喜ぶキャラおにぎり、ミニサイズのおにぎりなどを紹介してあげると喜ばれるでしょう。

「アメリカに帰省した際に、地元の友人にふるまいたい」という目的があるならば、アメリカの方の口に合うように、アメリカの方が喜ぶ具材を使ったアレンジおにぎりを紹介してあげると喜ばれるでしょう。

あるいは、「少しくらいお弁当づくりを手伝って!」とパートナーに怒られたのかもしれません。その場合は、おむすびに合う卵焼きなどの副菜の作り方も一緒に教えてあげると喜ばれるでしょう。

              

伝える相手が何を求めているか、どのようになったらハッピーか?を考えることで、伝える内容を深めることができます。

          

上記の例をふまえて、項目をブラッシュアップすると以下のようになります。(※赤字箇所が変更箇所です。)

  • おむすびとは?の説明
    ・おむすびの概要説明(味や形、材料、栄養、起源、おにぎりにまつわる食文化など)
    ・作る手順の全体像を説明
  • ご飯を炊く
    ・お米を研ぐ
    ・炊飯器にセットする
  • 握る前の準備をする
    ・氷水をつくる
    ・塩やふきんの用意
  • 塩むすびを握る~基本~
    ・氷水でしっかり手を冷やす
    ・ふきんで水気を拭きとる
    ・塩を手に広げる
    ・優しく固め、成形する
  • 色々な味付けで握る~応用~
    ・鮭おにぎり
    ・ツナマヨおにぎり
    ・肉巻きおにぎり
    ・キャラおにぎり:アンパンマン

  • おむすびに合う副菜づくり
    ・卵焼きの作り方
    ・たこさんウィンナーの作り方

               

4.【表現力】相手に合わせてわかりやすく表現する

                  

相手に合わせた分かりやすい説明は、以下の4点が大切です。

  • 言葉の意味を正しく理解して使っているか?
  • はじめて聞く人にとって、わかりやすい内容になっているか?
  • 相手の理解度や習熟度に合わせた言葉や言い回しを使えているか?
  • 個別の文化的背景によらない普遍的な表現ができているか?

                   

言葉の意味を正しく理解して使っているか?

特に抽象的・概念的な言葉は便利で、感覚的に使ってしまいがちです。きちんと理解して使えているか、改めて確認してみてください。

今回のような、おにぎりの作り方を説明するシーンにはあまりないと思いますが、仕事上ではよく起こりがちなケースです。

例えば、コアコンピタンス、スキーム、アジャイル、エビデンス、ブルーオーシャンなど。「よく聞くビジネス用語や横文字を使ってはみたけど、間違った意図や文脈で使ってしまっていたり、突っ込まれた際にうまく説明できなかった」という経験がある方もいるのではないでしょうか?

このようなことがないように、「さらにかみ砕いて説明してほしい。具体的には何のこと?」と聞かれた場合にも説明できるか、確認してみてください。

            

はじめて聞く人にとって、わかりやすい内容になっているか?

説明をする側は、事前に周辺情報は背景情報も含めた様々な情報をインプットし、そこから必要と思われる情報の一部を切り出して、説明することになります。この時点で、説明する側と、説明される側には、大きな情報量の差があるわけです。ですから、わかりやすく伝えたと思っても、うまく伝わっていない、間違って伝わっているということはどうしても起こりがちです。

                

特に抜けやすいこのあたりです。

  • 前提情報
  • 背景情報
  • 今の時期だけの特別な事情
  • 今回のケースだけの個別事情
  • この後の展開

説明する内容をまとめたら、一度頭をまっさらにして、初めて聞く人の気持ちになって確認してみてください。

               

相手の理解度や習熟度に合わせた言葉や言い回しを使えているか?

小学生に伝える場合と、大人に伝える場合。社会人1年目に伝える場合と、社会人20年目に伝える場合。女性に伝える場合と男性に伝える場合。その分野のプロに伝える場合と、アマチュアに伝える場合など。説明する内容に関する、相手の理解度や習熟度、精通度を踏まえて、表現を調整する必要があります。

                      

言葉をどの程度かみ砕く必要があるか、専門的な言い回しをどの程度一般的な例に置き換えるかなど、以下の3つの度合いから検証してみてください。

  • 世の中に関する理解度
  • 説明する分野の理解度
  • 専門分野に関する精通度

             

個別の文化的背景によらない普遍的な表現ができているか?

日本人とアメリカ人といった国や地域ごとの文化の違いもありますが、社内・社外といったコミュニティごとの文化の違いや、年代・性別・趣味嗜好などの属性ごとの文化の違いもあります。共通言語や共通の文化を持たない人同士では、暗黙に了解していることが少なく、同じ言葉でも双方で全く異なる解釈をする場合もあります。

            

そういった違いに配慮した、個別の文化的背景によらない普遍性のある表現ができているか、確認してみてください。

  • 国、地域における文化的背景
  • 社内・社外などのコミュニティにおける文化的背景
  • 年代・性別・趣味嗜好などの属性における文化的背景

                      

まとめ

                 

以上で「説明上手になるための方法|4つのステップと4つの力」の解説を終わります。

ポイントをおさらいします。

【構成を捉える力】大まかな構成を捉える
【事象分解力】事象を細かく分解する
【リサーチ力】伝える相手の状況を把握する
【表現力】相手に合わせてわかりやすく表現する

                

説明することに課題を感じている方の中には、

  • 普段から無口であまり話さないという方
  • 特定範囲の人間関係の中でしかあまり話さないという方

が多いのではないかなと感じています。

                    

このような場合、

  • 自分の中で自然と思いや考えを消化できていたために、アウトプットをする習慣があまりなかった
  • 言いたいことを十分に言わなくても理解してもらえていた

こういったことが原因で説明することを不得意と感じるようになったのではないかなと分析しています。

                    

ただ、この原因からわかる通り、説明が苦手な理由は、ただその習慣や環境がなかっただけ。裏返せば、慣れれば誰でもスムーズにできるようになると言えます。

                    

私も以前は、極度に説明することを苦手としていました。ですが、少しずつ言葉を組み立てる力を鍛えてきたおかげで、現在では企画書作成、自己PR書作成、プレゼンなどをたくさんの方に頼っていただけるようになりました。

習慣づけていけば、きっとあなたもスムーズに説明ができるようになります。この記事をそのための第一歩としてお役立ていただけたらとても嬉しいです。

ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました。

                     

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