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グラフィックデザイナーのオワコン説|4つの理由【生き残る道3選も解説】

あなた

「グラフィックデザイナー職に興味がある。でもグラフィックデザイナーはオワコンという声も聞くから迷っている。オワコン説が流れるそもそもの理由と対策を知りたい。」

こういった方向けの記事です。

 

近年はテクノロジーが進化したことで社会が大きく変化しているので、ほぼすべての職業が大きな変化を求められていますよね。グラフィックデザイナーもその中のひとつです。

 

実際、電子媒体と比較して紙媒体のニーズは減っていますし、誰もが簡単にデザインをつくれるツールが増えたことにより企業が内製するケースも増えています。

 

ですからオワコン説が流れるのは当然だと思います。

 

ですが、「オワコン説が流れてるから、デザイナーになるのはやめておこう」と考えてしまうとしたら、すごくもったいないなーと思います。

 

何かが終わるところには、必ずその背景に変化が起きています。その変化を理解した上で進む道を決めれば、変化はチャンスに変わります。これが分かっていれば、時代に影響されないキャリアを積み上げることができるようになります。

 

ということでこの記事ではグラフィックデザイナーのオワコン説が流れる背景を解説していきたいと思います。さらに後半では、グラフィックデザイナーの生き残る道4つをご提案しています。

 

なお、ここではわかりやすく“グラフィックデザイナー”としていますが、デザイナー全般に広く共通する内容もあると思うので、コーヒータイムにでもさらっとお読みいただけると嬉しいです。

 

グラフィックデザイナーの歴史を俯瞰する

 

まずはざっくりとグラフィックデザイナーの歴史を振り返ってみたいと思います。これをおさらいしておくと、この後の流れがすんなりと理解できると思います。

 

グラフィックデザイナーの仕事のかたちが今現在のものになるまでの流れをイラストでまとめてみました。

 

 

各時代のデザイナーの役割と仕事を整理します。

 

昭和以前

  • 役割:当時「デザイン」という概念はなく、グラフィックデザインは「図案」と呼ばれ”装飾”として扱われていた。
  • 仕事:木や石などの版に墨やクレヨンなどで絵や文字を描いていた。

 

昭和時代

  • 役割:戦後の日本で、グラフィックデザインのパイオニアである亀倉雄策の仕事をきっかけに、目的や機能にコミットする「デザイン」という概念が徐々に社会に浸透していった時代。
  • 仕事:デザイナー(レイアウトを決める)・写植オペレーター(文字組版を作成)・製版オペレーター(製版を行う)の分業制。

 

平成以降

  • 役割:課題解決にコミットする「デザイン」が求められる時代。
  • 仕事:DTPが誕生。パソコンやデザインソフトが登場し、パソコン上で印刷物の編集やレイアウトなどのデザインを行う現在のスタイルに。

 

流れをざっとまとめると下記になります。

  • 役割:装飾▶目的や機能の設計▶課題解決
  • 仕事:装飾をつくる▶レイアウトを決める▶設計から制作まで一気通貫

 

このようにデザイナーの道具や社会のニーズ変化に伴って、デザイナーに求められる役割はより高度になり、関わる仕事はより幅広いものへと進化してきました。

 

そしてまさに近年も、グラフィックデザイナーの役割と仕事が変わる節目を迎えています。では、グラフィックデザイナーを取り巻く環境に今どんな変化がおとずれているのか。次の章で解説します。

 

オワコンと言われる理由:グラフィックデザイナーを取り巻く4つの変化

 

下記の通りです。

  • 紙媒体ニーズが減少している
  • 誰もが簡単に作れるデザインツールの増加により、誰もがデザイナー化
  • AI技術の進化によって仕事が代替される未来が現実的になってきている
  • ビジネス環境が大きく変化している中で、ニーズがよりシビアになっている

一つずつ解説します。

 

紙媒体ニーズが減少している

 

下記をご覧ください。

 

出典:2021年 日本の広告費|株式会社電通

  • インターネット広告費:2019年 21,048/2020年 22,290/2021年 27,052
    →3年連続UP
  • プロモーションメディア費:2019年 22,239/2020年 16,768/2021年 16,408
    →3年連続DOWN

上記の通りです。

 

一部では、エリア限定のポスティングや、新型コロナの影響で在宅者が増えたことによる折り込みチラシなどの需要増しはありましたが、ペーパーレス化の加速や、デジタルマーケティングと連動した施策などにより、紙媒体を多く含む「プロモーションメディア費」は全体で見ると3年連続で下がっています。

 

一方で「インターネット広告費」は3年連続で上昇しています。理由としては、オンライン消費スタイルの定着や、企業のDX化(デジタル技術を活用して企業の優位性を確立すること)の加速などがあります。

 

誰もが簡単に作れるデザインツールの増加により、誰もがデザイナー化

 

誰もが簡単に素敵なデザインが無料で作れるツールがたくさん登場しています。一例をあげると、下記の通りです。

  • Inkscape
  • Vectr
  • Gravit Designer
  • GIMP
  • Medibang Paint
  • Canva

 

グラフィックデザイナーの王道ツールであるPhotoshopやIllustratorの代わりに使える無料ツールですとか、パーツを組み合わせるだけで簡単に素敵なデザインが作れるCanvaなど、きりがないほどたくさんあります。

 

こういったツールを使って、企業がデザインを内製するというケースも増えています。

 

また、デザイン制作を個人が簡単に請け負えるプラットフォームも充実しています。

  • SKIMA
  • Lancers
  • Crowdworks
  • ココナラ

 

こういったプラットフォームを通して、デザインが安価に発注できるので、限られたニーズを値引き合戦で奪い合うという状況が生まれています。

 

ビジネス環境が大きく変化している中で、ニーズがよりシビアになっている

 

下記をご覧ください。

 

企業の生き残りを難しくしている6つの要因

  • 市場の競争激化:デジタル化により、国境のシームレス化、スタートアップの出現、業界の垣根が希薄化し、市場競争が激化
  • 新規市場への顧客流出:新規市場の立ち上がりが加速化し、既存市場から顧客が流出してしまっている
  • 顧客の行動変化と接点の多様化:顧客はモバイル志向が向上。各企業と顧客との関係性が多様化しており、複数チャネルでアプローチするようになった
  • 商品・サービスの高付加価値化:技術の進展や顧客の要望により、既存ビジネス自体が高度化・高付加価値化されている
  • データによる最適化:膨大なデータの取得が可能となり、定量的に最適化することが可能
  • 不確定な将来:新たなビジネス・市場が多産多死される時代で、数年先のビジネス環境が不確定

出典:『ビジネス環境の 破壊的転換期における 備えるべき6つの視座』|アクセンチュア株式会社

 

このように、クライアントの経営環境が多くの脅威にさらされている中で、デザイナーに求められる価値がよりシビアになっているということです。

 

たとえば、「集客課題を持つとあるクライアントが、チラシの外注先を探す」場合、クライアントはたとえばこのような観点で検討します。

  • マーケティングデータに基づいた効果的な提案ができるか?
  • 自社の事業のスピード感に合っているか?
  • この外注先は成功事例をたくさん持っているか?
  • 同じ予算内で、チラシ制作以外に有効な手段があれば提案してくれるか?

 

こういった場合に、

  • 「うちにはマーケティングリサーチ機能がないんです」
  • 「全部手作業なので、ご希望の3倍は期間がかかります」
  • 「うちが提案できる手段は1つしかありません」

などと言っていると、あっという間に仕事はなくなります。

 

AI技術の進化によって仕事が代替される未来が現実的になってきている

 

株式会社野村総合研究所の研究(ソース)によると、

10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業は、AIに代替することが可能

と推計されています。

 

そして実際に、既にこのようなAIが誕生し、既にサービス利用が進んでいます。

  • ユーザーの要望に合わせてWebサイトの構成を考えてくれるADI(人口デザイン知能)(ソース
  • 1時間でデザイン1000案を生成するAI(ソース
  • 自動で会社やお店のロゴマークを生成してくれるAI(ソース)

 

さらに、AIを活用して制作したデザインを導入したことで、リニューアル前に比べて売上が1.3倍向上したという実績につながった例も生まれています。

 

以上で、「グラフィックデザイナーに訪れている4つの変化」に関する解説はおわりです。

 

ここまで読むと、「グラフィックデザイナーが生き残る道はないのでは?」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはないと思います。

 

次の章でご説明していきます。

 

グラフィックデザイナーの生き残る道3選

 

下記の通りです。

 

グラフィックデザイナーが生き残る3つの道 

  • 各メディアの特性を生かした提案・制作スキルをみがく
  • UI/UXデザインスキルをみがく
  • プロセスの上流工程から参画する

 

順番にご説明します。

 

各メディアの特性を生かした提案・制作スキルをみがく

 

たとえば紙媒体には以下のような特性があると言われています。

 

紙媒体の特性

  • 一覧性が高い
  • 注視性が高い
  • 誘目性が高い
  • 情報の信頼性が高い
  • 保管性が高い
  • 記憶定着率が高い
  • 五感への親和性が高い
  • ストック情報に向いている

 

さきほど「紙媒体ニーズが減少している」と書きましたが、その一方で「紙媒体ならではの特性を生かした、効果的な使い方が見直されている」という側面もあったりします。たとえば以下のようなケースです。

 

具体例:紙媒体ならではの使い方が見直されているケース

  • 地域の求人、不動産関連など、その土地ならではの情報をエリア限定でタイミングよく配布するため、ポスティングを実施(ソース
  • ECサイトの拡大とともに、紙のDMをタイミングよく的確な顧客へ送付し、購買などのコンバージョンへつなげる企画実施例(ソース
  • 電車内・駅構内広告は「つい見てしまう」「ふと目がいく」などの紙媒体の誘目性を活かす(ソース
  • 生活者の行動調査において、保守・契約更新の通知や複数人で見るもの(商品カタログなど)は、「50.8%」の回答者が「紙媒体で閲覧したい」と回答(ソース掲載終了)

 

上記のような例から、テクノロジー社会が成熟すれば、メディアの特性を生かした使い分けが今よりもさらに強化されていくだろうと考えられます。

 

UI/UXデザインスキルをみがく

 

意味は下記の通りです。

  • UI(User Interface)デザイン:ユーザーと製品・サービスの接点を設計するおしごと
  • UX(User Experience)デザイン:ユーザーが製品やサービスを通して得る体験を設計するおしごと

 

ざっくり言えば、「UI/UXデザイナーとは、ユーザー中心のアプローチを使って、優れたデジタル製品やサービスをデザインする人のこと」です。

 

企業100社を対象に行ったアンケートでは、「今後採用したいデザイナー職TOP10」のうち最上位を、UI/UXデザイナーが占めるという結果になっています。

 

今後採用したいデザイナー職 TOP10

  1. UIデザイナー
  2. UXデザイナー
  3. サービスデザイナー
  4. Webデザイナー
  5. アートディレクター
  6. デザインストラテジスト
  7. デザインエグゼクティブ
  8. デジタルプロダクトデザイナー
  9. UXリサーチャー
  10. グラフィックデザイナー

出典:100社に聞いたデザイン投資のリアル|株式会社グッドバッチ

 

技術進化により「価格やサービス、内容や機能といった要素だけでは差別化が難しい」という状況に置かれている中で、多くの企業が「使いやすさ」や「体験価値」といった”ユーザー中心のモノづくり”に活路を見出しているというわけです。

 

ちなみに、他のデザイナー職と比較してもXUI/UXデザイナーの平均年収は高いです。

 

デザイナーの平均年収比較

出典:求人情報専門サイトindeed

  • グラフィックデザイナー・CGデザイナーの平均年収:¥2,922,023
  • Webデザイナーの平均年収:¥4,772,811
  • UI/UXデザイナーの平均年収:¥5,877,783

 

求人市場では、UI/UXデザイナーは企業のニーズに対して供給が追い付かないほど、圧倒的に売り手市場になっています。また、以前までWebデザイナーやグラフィックデザイナーと呼ばれた人たちが、UI/UXデザイナーを名乗る例も増えていたりします。

 

プロセスの上流工程から参画する

 

下記の通りです。

 

 

このような変化が求められていると考える理由は2つあります。

 

一つは、企業の経営環境が厳しさを増す中で、「ユーザー中心のものづくり」や「ブランド資産価値の向上」を実現するためには、デザイナーが上流工程から関わることが不可欠だからです。

 

もう一つは、AIの活用が今よりもさらに進んだ時に、「AIが下流工程を担い、創造力や発想力を求められる上流工程は人間が担う」という未来が考えられるからです。こちらの事例記事「AIが1時間で1000案を生成」を読んでいただくとイメージしやすいと思います。

 

上流工程からデザイナーがイニシアティブをとって進めることで、「本質を見極めて、可視化する」デザイナーの本質的な価値を発揮することができます。

 

既に海外ではデザインのバックグランドを持つ人々が役職に就くことは一般的に行われていて、特にApple社のスティーブ・ジョブズは有名だと思います。(具体例:チーフデザインオフィサー一覧|Wikipedia)

 

一方で、日本はデザインの持つ力が過小評価されており、デザイナーは最終工程の装飾部分やビジュアルデザインの一部といった下流工程にとどまっているケースが少なくありません。ですが、近年はこういった状況にも変化がみられます。

 

 

上記のように、日本でも上流工程にデザインの力を活かそうという動きが少しずつ進んでいます。

 

ここまで聞くと、「上流と言っても、いきなり経営に関わるのは上流すぎてイメージがわかない」という方が多分多いと思います。その場合は、こちらが参考になります。

 

デザイナーに求めている役割は?(複数回答あり)

出典:100社に聞いたデザイン投資のリアル|株式会社グッドバッチ

 

たとえば、下記の通りです。

  • 今関わっているプロダクトやサービスのユーザーの声を知る
  • 今関わっているプロダクトやサービスの課題を抽出する
  • 今関わっているプロダクトやサービスを目的に立ち返って大幅なリニューアル提案をしてみる
  • 今担当しているクライアントや担当している産業の課題に基づいて新規事業提案を考えてみる

 

今担当している案件の上流工程から着手してみることがポイントです。

 

以上、「グラフィックデザイナーが生き残る3つの道」のご提案でした。

 

変化はチャンスです

 

大切なのは、「変化はチャンスである」ということです。

 

時代が変化する中ではオワコン説が唱えられますが、実際に市場を分析してみると、新たな可能性が見えてきます。今回の記事でいうと、以下のようなポイントです。

 

具体例:いま、デザイナーにおとずれているチャンス

  • 各媒体はその特性を生かす方向にシフトしている
  • 従来人間が行っていた作業をAIが代替し、人間はより創造性や発想力を活かす方向にシフトしている
  • デザインの力を求められる領域が拡大している
  • ”デザイン経営”という言葉に代表されるように、デザインの価値が見直され始めている

 

これがわかれば、あとは学習と経験を蓄積するだけです。変化には時代のニーズが現れているので、時代の最先端で価値発揮ができます。

 

今回はこれくらいにしようと思います。

 

最後に:少しずつ進化すれば大丈夫です

 

最後に一つだけ、「少しずつ進化すれば大丈夫」ということです。

 

紙媒体の仕事は多分なくならないし、デザインの本質を見失わなければキャリアを積み重ねていけます。

 

既にデザインスキルが身についているなら、徐々にデザインスキルにマーケティングやビジネススキル、新しい技術を掛け合わせていくと良いと思います。

 

まだ身についていないという方は、1年くらいデザインスキルを磨くといいと思います。そこから徐々にマーケティングやビジネス、新しい技術を学びましょう。

 

グラフィックデザイナーは初心者や未経験でも比較的なりやすいので、まず手始めにデザインの世界に飛び込むのにはとてもおすすめです。

 

【グラフィックデザインを仕事にするには】手順解説|将来性は?長く活躍する方法も語る

続きを見る

 

ということで終わりにします。

 

最後まで読んでくださり、どうもありがとうございました。

 

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