集団での意思決定において...
- 喋り過ぎる人と、黙っている人に分かれてしまう
- 各自が主張するばかりで話し合いが前に進まない
- テーマから脱線しがち
- 決定したことにいまいち納得感がない
こういった悩みを抱えている方に向けた記事です。
これを書いている私は、プロジェクトマネジメント歴5年以上、評価決定するための指標開発経験などもございます。
「決定権のある人間がいない」、「同じ文化や共通言語を共有していない」、人数やメンバー特性が異なるなどの様々なコミュニティでのファシリテーションを経験してきました。
意思決定のしやすさや最終的な意思決定の質は、具体的な方法やコツを知っているかどうかで変わってきます。
ということで、今回の記事でシェアしたいと思います。
それでは早速読み進めていきましょう。
意思決定には「型」が大切
集団での意思決定のしやすさや、最終的な意思決定の質をあげるためには、基本的な意思決定の「型」をしっかり踏みながら進めることが最も大切です。
型のないまま進めると、知識を披露する人、主張合戦をする人、互いの意見の比較をする人などによってカオス状態になり議論を前に進めることができなかったり、議論の内容が偏ってしまいます。
型通りに進めていけば、順序だった話し合いの流れの中で、その時々に適切な論点を出し合い、議論を積み上げていくことができます。
ということで、次の章でプロセスの「型」と、それぞれの方法やポイントをご紹介していきます。
意思決定プロセスの基本型
まず最初に、プロセスの基本型をご覧ください。
STEP1. 話し合いの土台を固める
STEP2. 選択肢を出す
STEP3. 判断基準を決める
STEP4. 最適な選択肢を選ぶ
順番にご説明しますね。
STEP1. 話し合いの土台を固める
土台を固めることで認識が揃うため、話し合いがブレにくくなり、また、ブレた時でも軌道修正しやすくなります。
第1項 話し合いの土台を固める方法
以下の内容を全員で共有することです。
【WHY】 なぜ話し合うのか:トピックに関する現在の状況
【GOAL】 何を達成したいのか:話し合う目的や目標
【WHAT】 何を話し合うのか:話し合いたいトピック
【BASE】 話し合いの前提となる情報、制約条件
第2項 具体例
先に具体例をあげるとこんな感じになります。
●【WHY】トピックに関する現在の状況
- 商店街に人がこなくなり、空き店舗が増えてきている
- 日本トップの水揚げ量を誇る漁港が近くにある
●【GOAL】話し合う目的や目標
- 目的:商店街を活性化する
- 目標:今年実施する商店街活性化計画の策定
●【WHAT】話し合いたいトピック
- 資金調達方法は?、協力依頼先は?、実施時期は?、実施施策は?、広告計画は?
●【BASE】話し合いの前提となる情報、制約条件
- 商店街の抱えている課題に関する調査、現在の顧客層調査など
第3項 注意点
各項目の注意点は以下です。
●【WHY】トピックに関する現在の状況
トピックについて話す上で、改善したい課題をあげておきます。
また、希望や兆しについてもあげておくことで、トピックを検討する際の良いヒントになります。
●【GOAL】話し合う目的や目標
目的はもちろん、目標も決めておきます。
そうすることで、この後STEP2以降で行う、選択肢を出したり、判断基準を決める際に、話し合いが混乱したり、行き詰ってしまった時に立ち返るよりどころになります。
また、これを決めておくことで、話し合いをどこまで具体化するかなど、最終的なアウトプットを明確にすることができます。
●【WHAT】話し合いたいトピック
ここは、疑問文で表現するようにします。
例えば、「誰に協力を依頼するか?」「どんな広告計画を行うか?」など。
「協力依頼先」「広告計画」という風にするよりも、思考が働きやすくなります。
●【BASE】話し合いの前提となる情報、制約条件
例えば以下のような内容です。
- 今回の話し合いが必要になった経緯
- これまですでに話し合ってきたこと(論点やこれまで出た意見、残っている課題など)
- 考慮すべきこと(活用できる資源、検討範囲、今回のトピックに関する周辺課題など)
- 話し合う上で考慮すべき専門知識
必要な場合は事前に資料を配布する
「長々と資料を読む必要がある」場合や、「事前に考えたり理解を深めてきてほしい」場合については、事前に資料を配布して目を通してきてもらいます。
話し合いの場で共有すべきこと
以下の場合は、話し合いの場で共有すると良いでしょう。
- 多くの質問が出ることが予想されること
- 認識齟齬がないように口頭確認しておいた方がいいこと
- わかりやすい説明が必要なこと
このように、話し合う上で必要な情報をヌケモレなく共有することで、全員が同じ目線に立って話し合いを進めることができます。
以上、「話し合いの土台を固める方法」でした。
なお、以上の内容は話し合いの場で0から考えだすのではなく、チームリーダーやファシリテーターとなる人が中心となって、事前に素案を用意して話し合いにのぞむことをおすすめします。
そうすれば、素案をもとに修正や追加をしたり、事前に各自で考えてきたことを持ち寄って話を進めたりなどができるので、話し合いの質があがり、スピード感をもって進めることができます。
STEP2. 選択肢を出す
話し合いの土台が固まったら、STEP1で出した【WHAT】について、具体的な選択肢を出していきます。
選択肢を出す方法
選択肢を出す方法は全部で3つあります。
その1 話し合いの進め方を工夫する
その2 視点や切り口を提示する
この段階では、発散的アプローチで、「選択肢の量」と「選択肢の幅」を広げることが大切です。
答えを急いで求めるのではなく、自由に思考を発散させることで、多様なアイデアを出すことが狙いです。
既存のアイデアに縛られない柔軟な発想は、最終的に意思決定の質を高めてくれます。
以下に詳細をご説明します。
その1:話し合いの進め方を工夫する
選択肢を出すためには、進め方にもコツがあります。
方法は3つあります。
選択肢の量と幅を高める、進め方のコツ
1最初にアイデアを付箋に書き出す
2メンバーをシャッフルする
3意見を全体でシェアする
①は、人の意見に引っ張られて、自分のアイデアが消えてしまったり、控えてしまう、といったことを避けるための方法です。
②、③は様々なアイデアを聞いて、さらに発想を発展させるための方法です。
進め方の詳細説明は以下です。
1最初にアイデアを付箋に書き出す
1. まずは個別で考える時間を取ります。
2. 考えたアイデアを付箋に書き出し、模造紙に貼りだします。
3. 付箋を一つずつみながら、どんな意図で書いたのかを発言していきます。
4. 発言を聞きながら思いついたアイデアがあれば、各自自由に付箋に書いて追加していきます。
2メンバーをシャッフルする
※5名×5グループなどの、複数グループで行う場合の進め方です。
1. 各グループで出たアイデアを付箋に書いて模造紙に貼りだします
2. その模造紙を置いたままにして、メンバーは自由に席移動します
3. 移動した先のグループのアイデアを見て、そこからさらに発展させたり、追加アイデアを出します
3意見を全体でシェアする
※5名×5グループなどの、複数グループで行う場合の進め方です。
1. どのグループにも属さない全体ファシリテーターを一人配置します。
2. 各グループでアイデアだしを行います
3. アイデアだしを行っている際、全体ファシリテーターは各グループの発言を聞いて回りながら、ほかのグループにシェアします。
(例_「他のグループではこんなアイデアも出ていたけど、こんな切り口はどうですか?」など)
その2:視点や切り口を提示する
上記の方法の延長になりますが、アイデアの幅を広げるためには、なるべく多くの「視点や切り口」で考えることも大切です。
方法は2種類あります。
視点や切り口を提示する方法
1オズボーンのチェックリスト
2ロジックツリー
詳細をご説明します。
1オズボーンのチェックリスト
ブレインストーミングの考案者である、A・F・オズボーンによって生み出された発想法です。
9つのチェックリストにこたえる形でアイデアを発想します。
少々、強引な方法ではありますが、アイデアがでない時や、偏ってしまった時、画一的になってしまった時などに有効な手法です。
オズボーンのチェックリスト
1.転用:そのまま、あるいは改変・改良して、他の使い道が生み出せないか?
2.応用:他の似た物からアイデアを借りられないか?
3.変更:意味・色・音・動き・匂い・様式・型などを変えられないか?
4.拡大:大きく、強く、高く、長く、厚く、多くできないか?
5.縮小:小さく、弱く、低く、短く、薄く、少なく、分割、省略できないか?
6.代用:構成要素、素材、アプローチなど、ほかのもので代用できないか?
7.置換:要素、レイアウト、位置、順序など、置き換えや並べ替えができないか?
8.逆転:前後、上下左右、主客などを逆にできないか?
9.結合:混ぜたり、合体などして、ほかの要素と組み合わせられないか?
2ロジックツリー
ロジックツリーとは、問題の要因を分解して根本原因を発見し、解決策を導き出すためのフレームワークです。上記は、商店街を活性化する施策を考える際の例です。
問題をツリー状に分解し、その原因や解決策を論理的に探すことから、「論理の木」を意味するこの名称がつけられています。
ロジックツリーには、以下5点のメリットがあります。
ロジックツリーの5つのメリット
●問題の全体を把握して、論点のズレをなくすことができる
問題を取り巻く全体像を見える化することで、「問題を把握できていない」、「問題の定義が異なる」といった認識齟齬がなくなるため、共通の課題認識をもって話し合うことができる。
●問題を深堀りして原因を特定できる
問題が起きる背景には、様々な要素が絡んでいる。表面に表れている問題を徐々に掘り下げることで、問題の根っこにある根本原因を特定することができる。
●解決策を考えやすい
抽象的な課題から具体的な解決策へと徐々にブレイクダウンしていくため、漠然と考えていた時にはおもいつかなかったアイデアを自然と引き出すことができる。
●解決策に優先順位をつけやすい
問題と解決策の全体像を一つのツリーとして視覚化できるので、優先すべきアクションを判断しやすい。
●解決策の必要性を共有しやすい
ロジックツリーは、問題と解決策の全体像が一目見てわかるように視覚化されることが最大の特徴。「解決策がどのような問題や必要性に基づいているのか」や、「全体における重要度」などが一目で理解しやすくなる。
以上、「STEP2:自由にアイデアを出す」ための方法をご紹介しました。
このあとは、これまでに出した選択肢を絞り込んでいく段階になります。
次の「STEP3:判断基準を決める」にて解説していきます。
STEP3. 判断基準を決める
選択肢を評価し、フィルタリングするための判断基準を定めます。
この判断基準が、最終的に案の質を決めるので、慎重に決めることが大切です。
「目的に適っているか」というのも判断基準の一つになりますが、もっと具体的にすることで判断しやすくなります。
第1項 判断基準の具体例
たとえばこのような感じです。
目的が「商店街を活性化する」の場合
判断基準:
・幅広い層にアプローチできる
・実施することで、地域活性化にも貢献できる
・地域の魅力である伝統芸能を発信できる
・予算内で実施できる
もう少し身近な例に例えてみるならば、以下のような感じです。
目的が「夏休みに行く旅行先を決める」の場合
判断基準:
・子供も祖父母もみんなが楽しめる
・自宅から5時間以内で行ける
・地元のおいしいグルメが楽しめる
第2項 判断基準を決める方法
1自由にアイデアを出す
2判断基準を絞り込む
3各判断基準に重みづけをする
この順番で決めていきます。
話し合い方はSTEP2と同様、最初から一つに絞り込むのではなく、まずは「自由にアイデアを出し切り」、その次に「絞り込む」という順番で進めることにより、検討不足や、鶴の一声で決まってしまうといったことを避けることができます。
詳細にご説明します。
1自由にアイデアを出す
全員でアイデアを出していきます。
といっても、ある程度パターンは決まっています。
以下を参考にしてみてください。
判断基準の典型例
- 効果:売上、利益、便益、QOLの向上など。
- コスト:金銭的、時間的、人的、心理的など。
- 親和性:自分や、自分の家族、会社、団体、国の文化、習慣、ライフスタイルとなじむか、など。
- 実現性:成功率、有効性、即効性、難易度、リスクなど
- 波及効果:関係するほかの人やモノなどへの影響
中には難しいものもありますが、できれば定量的に決めるのがおすすめです。
例えば「すぐに行ける」ではなく、「自宅から5時間以内で行ける」といった感じです。
こうすることで、客観的に判断しやすくなります。
2絞り込む
アイデアを出し終わったら、絞り込んでいきます。数は、基本的には3~5個程度がおすすめです。
理由としては、判断基準が少なすぎると該当するものがなかったり、逆に多すぎるとすべて該当してしまったりなどして、決定に至らなかったり、偏った案が採用されてしまう可能性があるからです。
絞り込む際の基準は以下を参考にしてください。
- 目的達成に貢献しないものは落とす
- 重要度の低いものは落とす
- 客観的に判断できないものは落とす
- その判断基準を用いても差がつかないものは落とす
- 類似しているものは統合する
3各判断基準に重みづけをする
判断基準が絞り込めたら、各判断基準に重みづけを行います。
重みづけというのは、「評価する項目ごとに、それぞれの重要度(優先度)に応じて5・3・1などの重みを付け、集計して総合評価を出す方法」です。
重みづけが必要な理由は、より重要度の高いものを選ぶためです。
以下の通りです。
重みづけを行うことで、優先度の高さを加味して判断することができます。
以上で、最適な選択肢を選ぶための準備はおわりです。
いよいよ、最後のSTEP4に進みます。
STEP4. 最適な選択肢を選ぶ
判断基準に照らして、選択肢の中から最も適していると思われるものを選びます。
最後に決定事項を全員で確認して終了です。
最適な選択肢を選ぶ方法
1選択肢を絞り込む
2選択肢を判断基準で評価する
最適な選択肢は、上記の2段階で選んでいきます。
以下に詳細をご説明します。
1選択肢を絞り込む
おそらくSTEP2で出した選択肢は量が多すぎると思うので、事前に絞り込みます。
絞り込みは、以下の方法で行います。
多重投票:一人3票~5票と決めて、判断基準に沿うと思うアイデアに票を投じる
具体的な方法としては、人数が少ない場合には挙手で、人数が多い場合は模造紙にアイデアをリストアップし、一人3~5枚のシールを票として貼る方法が効率的です。
票が0または少ないものの場合
基本的には票が入らなかったものや、極端に少ないものは落としますが、少数意見にも貴重な手掛かりがふくまれていることがあります。
なので、票を入れた人に投票した理由を全員に共有してもらい、残すかどうか判断するといいでしょう。
2選択肢を判断基準で評価する
- 縦列に判断基準、横列にアイデアの選択肢を記入
- 全部で合計100%中になるように重みづけをする
- 各項目10点中で配点する
- 「各項目の配点×重み」で点数を出す
- 各アイデアの合計点を出す
手順は上記の通りです。
先ほど絞り込んだ選択肢を、「STEP3」で決めた判断基準で評価していきます。
判断基準が定性的のため、配点しづらい
判断基準の中には、親和性や心理的コストなど定量的でないものも含まれると思います。
その場合は、選択肢の間で具体的な例をあげながら、相対評価をしていきます。
そうすることで、ある程度妥当性のある判断をすることができます。
決定したにもかかわらず、しっくりこない場合
最終的に選ばれた案が「しっくりこない」と感じる時もあります。
その場合は、以下3パターンのいずれかにあてはまる場合がほとんどです。
- 最終的に選ばれた案の欠点がめにつく
- 重要な判断基準が抜け落ちているか、重みづけが間違っている
- 合理的な判断を抜きにして、損を覚悟で選び取りたい選択肢がある
「1」の場合。最終案はあくまでも「最良」ではあっても、「完璧」ではありません。
デメリットやリスクはなるべく抑えるように対策をしたり、今回は選ばなかった選択肢の良いところを盛り込み、ブラッシュアップをするとよいでしょう。
「2」の場合は、前のステップに戻って、再検討してみることをおすすめします。
「3」の場合はもはや議論をするまでもなく、意志と覚悟をもって決断されるとよいでしょう。
以上で、「意思決定のプロセスの基本型」についてのご紹介は終わります。
集団での意思決定を行う際、ファシリテーターの動きはとても大切です。
それは、話し合いを進めたり、最終的な意思決定の質を高めることにもつながります。
ということで最後に、ファシリテーションのコツをお伝えしたいと思います。
ファシリテーションの6つのコツ
以下の通りです。
ファシリテーションの6つのコツ
1話しやすい人選や、グループ分けを考慮する
2話しやすい環境を整える
3最初に話しやすい雰囲気づくりをする
4一人ひとりの発言をメンバー全員がしっかり耳を傾けるようにサポートする
5メンバー全員の理解をそろえる
6メンバーの思考特性やテーマにどの程度詳しいかによって、話し合う順番をアレンジする
簡単にご説明しますね。
1話しやすい人選や、グループ分けを考慮する
影響力が大きすぎる人や発言を独占してしまう人は一つのグループに固めたり、話し合いから除くなどです。
例えば極端な例でいうと、テレビに出てくる有名人と、そうでない人とという組み合わせにすると、みんな有名人の発言に引き寄せられてしまいますよね。
そういったことを避けるためです。全員がバランスよく発言できる環境を作ることが大切です。
2話しやすい環境を整える
一つの方法としては、遊び心のある部屋を用意したり、お菓子やおもちゃなどリラックスできるアイテムを用意することが効果的です。
人間は環境に左右される生き物なので、環境によってアイデアが出づらかったり、柔軟な発想がしにくかったりということを避けるためです。
また、机や椅子の配置にも工夫が必要です。一番おすすめなのは、円卓を囲む正餐形式です。
全員が対等な位置関係にあり、視線が対立関係にならないため、リラックスして話しやすいレイアウトです。
3最初に話しやすい雰囲気づくりをする
方法としては、名札をつけてあだ名で呼び合ったり、話し合いを始める前に自己紹介や挨拶、チェックイン、アイスブレイクなどを行うことが王道です。
お互いがどういう人間なのか、今どんな気分なのか?を知ったり、簡単な遊びを共同で行うことで、距離を縮め話しやすくする効果があります。
4一人ひとりの発言をメンバー全員がしっかり耳を傾けるようにサポートする
複数人で話す場合、メンバー構成やコミュニティの属性などにかかわらず「発言を独占する」、「人の発言を否定する」、「控えめで発言が少ない」など、色々な人がいます。
このような状況によって発言者が偏ると、出てくるアイデアも偏り、それは最終的な意思決定の質を低下させてしまう原因となります。
なので、このようなことにならないよう、話し合いを始める前に以下のルールを共有するとよいでしょう。
参加ルール
- なるべく全員がアイデアを出す
- 全員の発言をしっかり聞き、ポジティブなリアクションを返す
- 出されたアイデアに対する批判や判断、意見、妨害、口出しはしない
- つまらない、おおざっぱな、見当違いのアイデアも歓迎する
- マイナーな意見、異端な意見も歓迎する
- 重複や類似を恐れず、他人のアイデアにのっかって発展させたり、組み合わせたりすることも歓迎する
このルールを共有することで、自由で多様なアイデアを出すための環境を作ることができます。
また万が一、声の大きい人ばかり話したり、批判しあったりという状況になった時には、このルールに立ち返ることで軌道修正することができます。
話し合いが白熱するとすぐに忘れてルールを逸脱する人が出てきてしまうので、ホワイトボードなど、目に入るところに貼っておくのがおすすめです。
5メンバー全員の理解をそろえる
方法としては、発言が抽象的だったり、言葉の定義や根拠があいまいだったりした場合に、ファシリテーターから質問を投げかけることです。
例えばこんな感じです。
- Aさんの言う「テーマ」と、Bさんの言う「コンセプト」の意味をもう少し具体的にしてみませんか?
- 「意味がなさそう」というのは、具体的にはどのような点に感じていますか?
- 「みんな」というのは、具体的にはどんな人ですか?
メンバーの理解をそろえることで、共通の認識と、客観的な事実に基づいた正しい理解をもって、議論を前に進めることができます。
6メンバーの思考特性やテーマにどの程度詳しいかによって、話し合う順番をアレンジする
大きく以下の2パターンがあります。
ロジカル思考タイプ、テーマに関して十分な見識を持っている場合
→「STEP3→STEP2」の順番で進める
メリット:思考特性に合っているため議論しやすい、効率的
デメリット:柔軟なアイデアが生まれにくい、詳しい人が議論を独占したり、他者の意見を批評しやすくなる
まずは自由に発言したいタイプ、テーマに関する見識が不十分な場合
→「STEP2→STEP3」の順番で進める
メリット:「詳しくないからよくわからない」という思考にとらわれず「なんでもいいからまずはアイデアを出してみよう」と進めることができる、柔軟なアイデアが生まれやすい
デメリット:非効率、選択肢に判断基準が影響されやすい
どちらにもメリット・デメリットがありますが、上記でご紹介したファシリテーターのコツを徹底したり、STEP2、3を行ったり来たりすることで、デメリットを極力抑えることができます。
以上で「ファシリテーションのコツ」について、ご紹介を終わります。
まとめ
最後に、今回ご紹介した内容をまとめます。
意思決定プロセスの基本型
STEP2. 選択肢を出す
STEP3. 判断基準を決める
STEP4. 最適な選択肢を選ぶ
話し合いの土台を固める方法
【GOAL】何を達成したいのか:話し合う目的や目標
【WHAT】何を話し合うのか:話し合いたいトピック
【BASE】話し合いの前提となる情報、制約条件
選択肢を出す方法
その2:視点や切り口を提示する
判断基準を決める方法
2. 判断基準を絞り込む
3. 各判断基準に重みづけをする
最適な選択肢を選ぶ方法
2. 選択肢を判断基準で評価する
「ポイントがたくさんでどこから着手していいかわからない」、という方はまずは大枠の意思決定プロセスの基本形を意識して実践してみてください。
これを意識するだけでも格段に話し合いがしやすくなります。
それでは以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!