こういった方向けに、『生の短さについて/セネカ著』の書籍を参考に、人生を短くする落とし穴や、陥らないためのヒントなど、要点をまとめていきます。(※当時の時代背景で描かれており、現代にそぐわない内容については、わかりやすく言い換えています。)
人生を短くする5つの落とし穴
まずは、陥りがちな落とし穴をご紹介します。
目的や目標、指針などの自分軸がなく虚ろに過ごしている
- 確固とした目的を追求することなく、気まぐれで移り気で飽きっぽく軽率に次から次へと新しい計画に飛び込んでいく
- 自己の進路を定めることに興味がない
- 怠けぼけしている
先々の心配や利益のために今日を失っている
- 遠い将来に良い生活ができるようにと、一層多忙を極め、明日に依存し、現に手元にある今日を放棄している
獲得した財産を守り維持するために自由や時間を奪われている
- 無益な苦労をしながら、厄介な仕事に捕らわれている
- 内心反発しながらも、高位の者への屈従に甘んじながら身をすり減らしている
- 他者や周囲の意見や評価に絶えず左右され、引きずられている
- 金持ちや地位ゆえに、大勢の者たちに取り巻かれ、詰めかけられている
- 土地や財産などから、髪型や服装などに至るまで、その損失や乱れを恐れ、気をもんだり、心をくだいている
無益なものに執着している
- 他者に恨みや憎悪、恐怖の気持ちを持ち、物理的、精神的に攻撃することに没頭している
- 金銭や物、他者への飽くことのないどん欲にとらわれている
- 酒びたりになっている
大事なことを後回しにしている
- 有益な計画を50,60歳まで先延ばしにしておいて、わずかな者しかいけなかった年齢から始めて人生にとりかかろうとする
- 他者の計画を優先して自分の時間を注ぎ、人生の残り物を自分自身のために残しておく
これら5つの落とし穴に陥ってしまうのには理由があります。それは以下の2つです。
- 「確実に長生きする保証があり、時間は湯水のようにある」という期待がある
- 時間の損失は目に見えない
1枚にまとめるとこんなかんじです。
土地をとられて黙っている人はいないし、自分のお金を積極的にわけ与えたがる人はあまりいないでしょう。しかし、自分の時間となると話は別。私たちは多くの時間を差し出し、他人が侵入することをいとわず、時間の最大の浪費家になります。私たちは時間を無料同然に惜しみなく使いがちです。その理由は、時間が湯水のようにたくさんあってほしいという期待と、時間の損失が目に見えないことにあります。このようにならないためには、日頃の行動習慣に自覚的である必要があります。
行動習慣に自覚的であるためには【使った時間と用途を確認する】
でも自覚的であろうとしても、難しいですよね。そういう時は、自分が使った時間と、その用途を見える化するのがおすすめです。簡単に見える化するには、以下の方法がおすすめです。
① Googleカレンダーに、行動を記録する。
※予定ではなく、行動した後に記録していきます。
②円グラフにする。
エクセルでもできますが、以下のサイトが便利です。
https://www.calendar-report.work/
使用手順は以下の5つのステップです。
1.「Sign in with Google」のボタンをクリック
2.Googleアカウントを選択
3.「開始」「終了」期間を入力後、「表を表示」をクリック
4.末尾にある「分類の設定」より、予定の分類カテゴリをすべて設定。
5.円グラフ表示
実際に作ってみた、私の1週間分の行動記録が以下です。
円グラフにするとこんな感じ。
このうち、自分自身の計画のために使った時間はどのくらいあったか?どのくらいの時間、自分自身を自由にすることができたか?この中で、自分の人生の価値に値する成果は何だったかを確認してみてください。また、それ以外に、喧嘩や病気、怠惰、他者の愚痴や暇つぶしへの付き合いなどに、どれだけの時間が持ち去られていったか、使わないまま投げ出した時間はどのくらいあったかを確認してみてください。
こうしてみると、人生の価値に値することに使った時間が案外少ないことや、無益な悲しみや、愚かな喜び、偽りの慰め、飽くなき欲望に費やされていった時間がいかに多いかが見える化されると思います。今の時間の使い方を変えない限り、この円グラフが示す割合は人生の縮図としてこのまま一生続くといっても過言ではないと思います。ですが、今の時間の使い方を認識することから変えていくことができます。
「どのように生きるべきか?」ヒントを知る
「落とし穴があることも、今の時間の使い方も分かったけど、逆にどのように生きたらよいの?」その答えのヒントになる箇所をいくつか抜粋要約していきます。
時間を自分自身の必要のために当て、簡単に誰かに譲り渡さないこと
- 時間の最もけちな保護者として、自分の時間と交換に値するものを、見出すこと。用いられる限りの時間を、ことごとく自分自身の必要のためだけに当てること。
今日が最後と思い、“今日の1日”に集中すること
- 毎日毎日を最後の一日と決めること。
- たとえとらえたとしても、結局時間は逃げていくだろう。それゆえ、時間の速さと競争するには、時間の速度を用いねばならぬ。そして、いわば流れの急な、しかも常に流れているとは限らない奔流の水を、急いでくみ上げるようにせねばならない。素早く去っていく時間の中で、悠長に自分の前方に長々と年月を伸ばしてはならない。素早く去る“日”を捕まえなければならない。
- 生きることの最大の障害は期待を持つということであるが、それは明日に依存して今日を失うことである。運命の手中に置かれているものを並べ立てて、現に手元にあるものを放棄してはならない。将来のことはすべて不確定のうちに存する。今直ちに生きなければならぬ。夜の来るのを待ち焦がれて昼を失い、朝の来るのを恐れて夜を失ってはならない。
偉大で崇高なことに費やすこと
- 暇のある人生。しかし、それは休息ではない。退屈や平穏でもない。君が君自身の人生の利益のために約束した、最も偉大で崇高なことがあるはず。その最も大きな仕事を見つけ、それを心静かに実行するのがよい。
英知に専念すること
- 英知に専念する。なぜならば、それによってあらゆる時代を自己の時代につけくわえ、またその築かれた見識のおかげで、後世の人たちは過去のあらゆる時代と交わることができる。その中で生み出された英知を知り、後世の人は自分の生きる時代に生かすことができる。それは近づく者を一層幸福にする。近づく者の年月を使い減らすことはなく、かえって年月を君に付け加えてくれるだろう。英知によって永遠化されたものは、時を経ても害されることはない。いかなる時代もそれを滅ぼさないであろうし、減らしもしないであろう。
まとめ
土地やお金や物は取り戻せても、誰ひとりとして年月を呼び戻す人はいません。引き止められることなく、年月はもくもくと過ぎ去り、好むと好まざるを問わず、必ずすべての人に死が訪れます。しかし、直ちに”今“を生きるならば人生は決して短くないと著者のセネカは言います。
「われわれは短い人生を持っているのではなく、実はその多くを浪費しているのである。人生の全体を有効に費やすならば、最も偉大なことをも完成できるほど豊富に与えられている。」
以上でこの記事は終わりにします。あなたが有意義な人生を送るためにお役立ていただけたら嬉しいです。お読みいただきありがとうございました。